AKIKO UEMURA PHOTO EXHIBISION 2004

「Passing」


 「私の周りにあったはずのものが
ふと気がつくと、全てなくなっていて
私一人が、ぽつんと存在していた。」

置き忘れた物、捨て去られた物、或いはいつもそこに
当然あるものであるが故に誰にも見向きされないもの。
一見、そのものたちは存在さえしていないかのようだ。
しかし、私には周りの世界の方が消え去ってしまって
そのものが確かに存在し続けている世界の方が見える。

その様にして、ひっそりと佇むものがある風景を見た
瞬間に、私はその世界に引き込まれる。

まるで、そのものが私という人間自身であると
いう錯覚に陥ってしまったかの様に。








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